ここ数年、医療現場ではスクラブと呼ばれる医療用ユニフォームが人気を集めています。その人気は定番の白衣に取って代わる勢いで、白衣姿の医師を全く見かけない病院も増えてきました。また、医師だけでなく看護師や介護士などもスクラブを着用する人が増えています。
そんな医療用スクラブの魅力について解説していきます。
医療用スクラブの語源は「ゴシゴシ洗う」
医療用スクラブの「スクラブ」には「ゴシゴシ洗う」という意味があります。
その意味どおり、医療用スクラブは丈夫な生地から作られ、ゴシゴシ洗うことができることから「スクラブ」と呼ばれているのです。また、ボタンなどがなく、かぶりタイプのものが一般的で、素早く脱ぎ着できるのも特徴です。
そのため、緊急時にも脱ぎ着がしやすく、血液などで汚れても気軽に洗濯をすることができるため、当初は手術の際に着用する手術着として医療現場に広まっていきました。
そんな扱いやすさが広まり、今では医療現場だけでなく、介護の現場やエステサロンなどでもユニフォームとして採用するところが増えてきています。
豊富なカラー展開も魅力
医療ドラマや医療ドキュメントなどで手術シーンを見ると、手術着としての医療用スクラブはそのほとんどが青緑色です。これには理由があって、人の目は集中して一ヶ所を見つめた後に視線をはずすと残像が残ってしまいます。
手術においては、赤い血液や内臓を長時間見続けたあとに、白い背景などに視線を移すと、赤の補色である緑色の残像が残ってしまうことがあるのです。このように、特に濃い色を長時間見つめたあとに白い背景などを見ると起こる残像や視界のチラつきを「補色残像効果」と言って、この現象を回避するために手術の際には青緑色のスクラブが用いられることが多いのです。
つまり、手術のような特殊な現場でなければ、青緑である必要はないのです。その一方で、通常の診察をする際には、衛生面などを考慮して白衣を着用する医師がほとんどでした。しかし、これにも問題があって、家で血圧を計測すると正常値なのに、非日常の空間である病院で白衣を着た医師に血圧を測ってもらうと正常な値が計測されない「白衣高血圧」という現象が起こることがわかり、通常の診察の際にも白衣を着ない医師が増えていきました。
そこで重宝がられたのが医療用スクラブです。そもそも手術着だったので、その扱いが簡単で、動きやすさにも考慮されたデザインであるうえに、豊富なカラー展開で販売しているメーカーが多いので、医療現場のさまざまなシーンに合わせて豊富なラインナップの中から、自分たちの医療スタイルに合った一着を選ぶことが可能なのです。
ファッショナブルに進化する医療スクラブ
もともとは手術着として重宝がられていた医療用スクラブですが、現在は医療現場のみならず介護の現場やエステサロンなどでも優秀なユニフォームとして採用されることが増えてきました。それに伴って進化してきたのが医療用スクラブのファッション性です。
丈夫で、汚れに強く、動きやすいだけでなく、デザインやディテールにこだわったファッション性の高い医療用スクラブが多く販売されています。
医療現場に新たな風を吹き込むクラシコ
医療用スクラブのファッション性の高まりとともに、医療現場とは無縁だったスポーツブランドやファッションブランドとコラボしたスクラブを販売するメーカーも増えてきました。そのなかでも注目なのがクラシコ株式会社です。
クラシコ株式会社は、2008年創業の白衣の企画、製造、販売のほか、医療従事者向け商品の企画、販売を手がける企業で、ロンハーマンとコラボした医療用スクラブを販売しています。ロンハーマンは、1976年カリフォルニアで誕生したセレクトショップで、ハリウッドセレブ御用達のショップとしてその名を広めてきました。
日本では2009年千駄ヶ谷に1号店がオープンして以来、現在では有楽町、横浜、軽井沢、名古屋、大阪、福岡など全部で12店舗展開していて人気を集めています。
このように、クラシコ株式会社ではファッション性の高い医療スクラブを販売しているのですが、それ以外にも、おしゃれなルームウェアとして人気を集めているジェラートピケとコラボしたナース服や、発明から200年同じ形をしてきた聴診器をゼロから再構築した聴診器「U scope」を販売するなど、今までにない発想で医療現場に新たな風を吹き込んでいます。
それでも重要視されるスクラブの機能性
医療現場の多くでは、現場で使用されたユニフォームを専門の業者などと提携して洗濯しています。しかし、その割合は100%ではなく、自分で購入し、管理している人も少なくありません。そのため、自宅で自分で洗濯しなければいけないことも多いのです。
そのような場合でも、従来の白衣やナース服は個人でクリーニングに出すことがほとんどでした。
それに対し、ほとんどの医療用スクラブは自宅で簡単に洗濯することができます。豊富なカラー展開、ファッション性の高さなど、機能面以外も進化を続けている医療用スクラブですが、生地の進化などにより、汚れが落ちやすく、アイロンがけの必要のないものも多く、その扱いが圧倒的に簡単なのも医療用スクラブの魅力なのです。
また、医療用スクラブは動きやすさなども重要です。通常のデスクワークなどと違って、医師や看護師の仕事というのは意外にも動き回ることが多く、その動きを妨げないデザインでなければいけません。クラシコ株式会社が販売しているロンハーマンとコラボした医療スクラブも、どのような状況でも身体をリラックスした状態を保つことができるようゆったりめのサイズ感になっていて、洗濯に耐える生地を採用しています。
このように、どんなにファッション性が高まっても、機能性を軽視することができないのが医療用スクラブなのです。それはもちろん、人の命を預かる現場でのユニフォームですから、最も重要なのはやはり機能性なのです。
医療現場と一言で言っても、さまざまなシーンがあり、人によって仕事内容も違ってきます。機能面もファッション性もどんどん進化していく医療用スクラブ。さまざまなメーカーが、こだわりの医療スクラブを販売しています。
毎日身につけるものですから、選ぶ側も自分のスタイルを考慮してこだわって選ぶようにしましょう。そして、自分に合った医療用スクラブを見つけてみてください。
関連リンク：ユニフォームタウン … 医療制服 > https://www.l-m.co.jp/scrub/